6月のご挨拶 ~金型保管の在り方について
6月となりました。梅雨は例年より遅れており、真夏日は既に発生しております。
今年の夏も、暑くなる予感です。体調に気を付けて仲夏の1か月を過ごしたいと思います。
今年度に入ってから、中小企業庁の下請法の指導で、金型の保管について、様々な所へ通知が行っているようです。敏感な御客様からは、具体的な運用について、質問をいただく事がございました。また、協力先業者から、保管料を払って欲しい、というお話もいただきました。
ちなみに今の所、下請法に関連しない企業は静観ですが、いずれ標準的な取引になっていく可能性はあります。
問題は、保管料の取り決めの方法です。これについては、下記の中小企業庁のホームページを見てみます。
◇新しい型取引のルールができました。 ◇型の製作から廃棄に至るまで、新しい型取引の ルールに基づき、取引を行いましょう!
あくまでも指針なので、概要からは分かりにくいですね。一般論としては、地元の無人倉庫などがひとつの目安になってくるのではないかと思います。例えば大手の「ハローキティ・ストレージ」なども参考になるかと思います。
ちなみに、当社は金型新聞Web版で取り上げられている、下記の企業様を参考にすることに決めました。
サカモト・ダイテム 金型保管サービス開始 月額4000円から
2018年の記事ですから、相場は既に上がっているかもしれません。適正ではないかもしれない。しかし、世の中の風潮がこうなった以上、無償サービスのままでは済まない。まずは一歩目を踏み出そう、というのが当社の意見です。
ただし、最後に本末転倒な意見となりますが、金型業界、プレス加工業界が苦境になったのは、なにも金型の保管費用を渋られたからではありません。わが国の知的財産を安易に海外に展開し、盗まれても仕方がないような風潮で、20年、30年と時を重ねたことの帰結でしょう。このような小さな政策で、活況になるとは思えないのが本音です。
ベネチアングラスは、国がベネチアのムラノ島に職人を集中し、厳しい罰を盾に技法を守ろうとしました。当時のやり方は近代的とは言えませんが、国の財産である技術を、価値あるものとして尊重し、ときに人に奪われないように守ろうとするのは、普遍的な価値観ではないでしょうか。
1歩目は保管料でも、支払い条件の改善でも構いません。わが国の政府、そして共に暮らす国民の皆様が、自分が作れないものに対する一定の敬意と、そして普遍性のある金型加工という技術を、大切にしていくきっかけになれば幸いに思います。
記:代表取締役 篠原 謙介